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元検事長の黒川弘務氏らが賭博罪で東京地検に告発された。
彼らのレートだと無罪になるはずだということで、ネット上では地検前で「黒川杯」を開催しようという冗談話まで流れている
告発の意義と捜査の行方は――。
検察庁前から麻雀大会「黒川杯」(テンピン)の中継を開始しました。https://t.co/Vr0gnmRFkG
現在実況中警察官が雀卓前を塞いでいるので、それを避けて無理やり打ってるw pic.twitter.com/EG2vSqDBZR
— II号L型 ルクスさん@15周年 (@PzKpfw_II_L) May 30, 2020
ヤフーニュースのリライト
前田恒彦 | 元特捜部主任検事の記事にて下記のように報道されています
元検事長の黒川弘務氏らが賭博罪で東京地検に告発された。彼らのレートだと無罪になるはずだということで、ネット上では地検前で「黒川杯」を開催しようという冗談話まで流れている。告発の意義と捜査の行方は――。
「黒川杯」は強烈な皮肉
ネットで話題の「黒川杯」とは、次のようなものだ。
「法務省刑事局の公式見解によると、テンピン麻雀は問題ないらしいので『黒川基準』によるレート麻雀解禁を祝してテンピン麻雀大会を公然と実施することになりました」
「場所は新基準の礎を築いてくれた黒川元検事長に敬意を表して検察庁前の路上となる予定です」
「開催前に黒川元検事長が賭博容疑で逮捕ないし起訴等された場合は、自らの浅薄さを深く恥じ入り本大会は中止とします」
もちろん、冗談話であり、強烈な皮肉だろう。実際に東京地検前の路上に麻雀卓を設置し、麻雀をすれば、それだけで警察官に囲まれ、その指示に従わなければ逮捕されるのではないか。
道路交通法が次のような行為を罰則付きで禁止しているからだ。
● 交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置くこと
● 道路において、交通の妨害となるような方法ですわり、しゃがみ、立ち止まっていること
2018年にも、京都大学の大学院生らがこの規定で逮捕されている。自治寮廃止を目論む大学当局に抗議するため、大学近くの道路上にこたつを置き、10分間にわたって4人で鍋を囲んだからだ。
幕引きできず
ただ、「黒川杯」の本意は、黒川氏や記者らに対してきちんと捜査を行い、彼らのレートだと賭博罪で罪を問われるのか、明確にすべきだということではないか。
もし「黒川杯」が道路上ではなく個人宅や麻雀店で開催され、ネット中継でもされたら、警察は現場に踏み込んで逮捕できるのか、また、検察も起訴できるのか、という問題が残るからだ。
その意味で、今般、市民団体や弁護士グループなどが刑事告発に及んだ意義は大きい。
法務検察が、捜査ではなく簡単な内部調査によって事件を矮小化させ、早期に幕引きを図ろうとしているからだ。
しかし、刑事告発があれば、刑事訴訟法の規定により、検察はきちんと捜査し、起訴・不起訴という正式な処分を決めなければならなくなる。
さすがに週刊文春の記事のコピーを添付しただけだと、検察としても「疎明資料が不足している」という理由で受理しないこともあり得るが、法務省の調査報告書のコピーを添付していれば、受理しないわけにはいかない。
彼らですらも、「賭け麻雀」の事実を認定しているからだ。もし告発を受理せず、捜査しないということになれば、ますます非難の声が上がるだろうし、告発した関係者から国賠訴訟が提起される事態に発展するかもしれない。
賭博罪とは
さらに重要なのは、賭博罪に関するアウトとセーフの境界線に関し、検察が解釈を示さなければならないという点だ。
すなわち、刑法は、賭博罪について次のように規定している。
「賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない」(賭博罪)
「常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処する」(常習賭博罪)
「賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、3月以上5年以下の懲役に処する」(賭博場開張等図利罪)
賭博行為が裁判で罪に問われるのは昨日今日始まった話ではなく、すでに確立し、これまで蓄積されてきた裁判所の判例が多数ある。
これによると、麻雀は勝ち負けが偶然に左右されるものだし、現金は「一時の娯楽に供する物」にあたらないから、もし現金を賭けて麻雀をやると、賭博罪が成立する。
現行犯でなければ賭博行為を立証できないとか、起訴できないというわけでもない。常習賭博罪も、参加メンバーの供述などにより、過去の複数回にわたる賭博行為や常習性を立証している。
いくらからセーフ?
そこで問題となるのは、起訴して刑事罰を科すに値するほど違法性があるといえるのか、また、どの程度の頻度・回数から、より刑罰の重い「常習」と判断されるのかという点だ。
麻雀では、点数などに応じてやり取りする現金を決めるレートがあり、黒川氏らの「テンピン」(1000点100円)だとセーフなのか、改めて検察が判断することになる。
また、麻雀は、プレイするメンバーが合意したルールによって、ギャンブル性の高低が大きく変わる。
例えば、順位に応じて与えられる「ウマ」と呼ばれるハンデや、手役の中に抱えていれば上がり役の点数も上昇する「ドラ」、上がりの際の点数の授受を倍にする「割れ目」など、さまざまだ。
黒川氏らがどのようなルールを採用していたのかを確定したうえで、それだとアウトなのかセーフなのか、判断しなければならない。
重要なのは、現に検察が「テンピン」やそれよりも低いレートで客に賭け麻雀をさせていた麻雀店の経営者を先ほどの賭博場開張等図利罪で起訴し、有罪を得た裁判例があることだ。
その際、検察は、レートが低い、賭け金が少ない、公営競馬やパチンコなどもあって賭博の違法性が弱まっているという弁護側の主張を一蹴し、裁判所もこれに追従している。
もし「仲間内であればセーフ」ということなら、メンバーがどの程度の人間関係までなら立件されないのか、その基準を示さなければならない。
「常習」か否か
しかも、今回の告発では、単なる賭博罪ではなく、常習賭博罪にあたるのではないかとも主張されている。
常習とは、反復継続する意思に基づいて行う習性であり、プロの博徒のような者に限定されない。3回の賭博行為で常習と認定した裁判所の判例もある。
そうすると、単に週刊文春が報じた賭け麻雀だけでなく、同じメンバーや違うメンバーとの間の過去の賭け麻雀にまでさかのぼって捜査を尽くさなければならない。
このほか、告発では、個別の取材に応じるとか情報を漏らすといった特別扱いに対する見返りとしてハイヤーの提供を受けたのではないかということで、賭博罪にとどまらず、贈収賄での立件も求めている。
ここにも、捜査の手を広げる必要がある。
市民がどう判断するか
起訴されれば、裁判所が改めて賭博罪の成否や量刑などを判断することになる。
ただ、おそらく検察は、自業自得ながらも黒川氏が検事長の地位を追われ、軽いながらも訓告という処分を受け、社会のバッシングにさらされて相応の社会的制裁を受けたといったことを考慮し、記者ともども不起訴にするのではないか。
もっとも、その場合でも話は終わらない。告発した関係者が請求すれば、検察による「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」といった不起訴の理由が明らかにされる。
さらに、その判断の当否について、検察審査会に審査を求めることまでできる。
そもそも、地検前で「黒川杯」を開催しようという冗談話まで流れるほどの事態に至ったのは、訓告という処分が軽すぎ、身内に甘いと受け止められたからではないか。
法は誰に対しても公平に適用されてこそ、信頼を得るものだ。
賭け麻雀どころか麻雀そのものをやる人のほうが少なくなっている中、市民の代表である検察審査会がどのように考え、判断するのかも重要となるだろう。(了)
引用https://news.yahoo.co.jp/byline/maedatsunehiko/20200527-00180334/
ヤフーのリライト
ヤーフーニュースに下記のような記事もありました
デイリースポーツにて報道されました
麻雀大会「黒川杯」ネタ的告知にネット沸騰「超ウケる」「凄いセンス」騒動揶揄
26日、ツイッター上では「黒川杯」なるワードが飛び交い、「笑ってしまった」「このセンスがすごい」などと盛り上がりをみせている。 ネット上に「祝レート麻雀解禁! 検察庁前テンピン麻雀大会」と“イベント告知”するサイトが登場し、「法務省刑事局の公式見解によると、テンピン麻雀は問題ないらしいので『黒川基準』によるレート麻雀解禁を祝してテンピン麻雀大会を公然と実施することになりました」とうたっている。 日時未定となっておりネタであるもよう。 東京高検の黒川弘務前検事長が賭け麻雀問題で辞職し、法務省刑事局長が国会答弁で当該麻雀のレートが「テンピン(1000点=100円換算)」だったと明らかにし、「社会の実情をみましたところ、必ずしも高額と言えないレートでした」と述べた件を、微細に揶揄したものとみられる。 すでにネット上では「テンピン合法キター!」「新たな黒川基準」と皮肉られており、今回の「黒川杯」も、この騒動にそった皮肉が盛り込まれている。 「開催前に黒川元検事長が賭博容疑で逮捕ないし起訴等された場合は、自らの浅薄さを深く恥じ入り本大会は中止とします」とのお断りも。 ウマ10-20、チップなし、喰いタン・後づけアリから、カンドラは暗カンのみ先めくり、2ハン縛りなしなど、詳細なルール設定が記されている。 「時局柄マスク着用での参加をお願いします」と呼びかけている。 このページの存在がネット上で伝わり、「このセンス羨ましすぎる!」「黒川杯、オモロすぎ!」「黒川杯か。。。めっちゃ皮肉やなこれ」「何かと思った超ウケる」「黒川杯っつーのがアツい」「洒落っ気に溢れてて好き」と面白がる投稿が相次いでいる。
引用https://news.yahoo.co.jp/articles/a185a918dc06826138d693518311355d030bed48
Twitterの声
検察庁前から麻雀大会「黒川杯」(テンピン)の中継を開始しました。https://t.co/Vr0gnmRFkG
現在実況中警察官が雀卓前を塞いでいるので、それを避けて無理やり打ってるw pic.twitter.com/EG2vSqDBZR
— II号L型 ルクスさん@15周年 (@PzKpfw_II_L) May 30, 2020
検察庁前から麻雀大会「黒川杯」(テンピン)の中継を開始しました。
やや日刊カルト新聞さんのライブを視聴中! https://t.co/s2vWSPDCny
— 墓林 (@haka_bayashi) May 30, 2020
黒川杯(テンピン)中継ww
警察が器物損壊⁈ / #検察庁前麻雀大会 キャス https://t.co/gt1hZ1zEgt— 🍒cherry (@cherry_o17) May 30, 2020
プロフィール
黒川弘務 プロフィール
1957年生まれ。
1981年東京大学法学部卒業。
司法修習生。1983年検事任官。東京、新潟、名古屋、青森等の各地方検察庁勤務のほか、法務省秘書課、同刑事局、同司法法制部勤務等を経て、2001年12月法務省大臣官房司法法制部司法法制課長。
2005年1月法務省刑事局総務課長。
2006年7月法務省大臣官房秘書課長。
2008年1月法務大臣官房審議官。
2010年8月松山地方検察庁検事正。
10月法務省大臣官房付。
2011年8月法務省大臣官房長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
『逐条解説 サービサー法』より引用https://www.hmv.co.jp/artist_%E9%BB%92%E5%B7%9D%E5%BC%98%E5%8B%99_200000000318936/biography/
ネットの声
ネットの意見も見ていきます。
検察、法務省、内閣、マスコミへの痛烈な皮肉だろう。
それまで意見できなくなれば検閲社会へとまっしぐらだ。
“テンピン麻雀は問題ないらしい『黒川基準』によるレート麻雀解禁”
とても皮肉な話で、こんな話が出てくるのも、検察No.2のやったことも問題だが、点ピンレベルでは問題ないという法解釈事態が問題。過去には自衛隊で懲戒処分を受けた事例もある。それを今日の国会で野党に突っ込まれていた森法務大臣。そういった過去の事例も把握していないで、僅か一日で訓告処分とは、政府が早い決着し逃げ切ろうとしたことが窺える。しかも誰がそういう判断をしたのかも、法務省になすりつけている。全く今の政府は信用出来ませんね。
現政権のことだから法改正で「麻雀はお金かけても賭博罪にならない。遡及して改正するので黒川氏は罪に問われない」と言い出すと思っていた。
もし起訴されないなら月3回3年間に渡り開催しても問題視されないようですので黒川杯に参加しますのでよろしくお願いします。
まとめ
これものすごい皮肉よね笑
でもね、検察の立場は「金額の多寡」に関係なく、「賭博」はダメなのよ。
論点すり替えで済まそうとするブレた政治家達に皮肉でトドメさした感があるね。
これを考えた人のセンス称賛しますなぁ。
「このセンス羨ましすぎる!」「黒川杯、オモロすぎ!」同感です!